菖蒲の時期に思うこと

モエママ
07.06.27
今年も、大村公園の菖蒲はみごとに咲き誇っています。
『もう、一年経ったんだね』
夫は感慨深げにつぶやきました。
毎年この時期に菖蒲まつりと合わせて開催される息子の剣道の試合に、
忙しい父が時間を作って神奈川から来てくれたのは一年前でした。
もののみごとに一回戦敗退した息子が
『じいじ、せっかく遠くから来てくれたのにごめん』
父が『そんなこと、言うな!』
と二人で涙ぐんでいたのが昨日のことのようです。

夫の転勤で神奈川を離れてもう十年。
各地を転々としてきましたが、父は孫の行事があると、
どこにでも飛んできてくれました。
長崎は私たち家族にとって三年目。
あの日、ロープウェイに乗り、初めて見た稲佐山からの夜景に感動しました。
擦り鉢に宝石をばらまいたような景色の素晴らしいかったこと!
「膝が悪いんだから無理しないで」という母の言葉も聞き入れず、
5歳の娘を抱えて子供のように展望台ではしゃいでいた父の姿が忘れられません。
その三週間後。
自宅に戻った父は、大動脈瘤破裂であっという間に逝ってしまいました。

この一年、父の面影のない、この長崎に住んでいることが救いなのかも知れないと
自分を慰めて生きてきました。
一年前と変わらぬ菖蒲の花を見ていて、時が戻ればいいのに、と思うときもあります。
しかし、告別式でも号泣していた息子は、さまざまな出来事を乗り越え、
確実にひと回り大きくなりました。
父が大好きだった娘は、小学校に入学し、毎朝玄関でほほえむ父の遺影に
「いってきまーす」と声をかけて出かけていきます。
子供は確実に成長し時も止まらないのです。
悲しみを乗り越えなければ。
父の分まで残された母を大切にしなければ。
そう思い返す私です。