鏡の前の妖怪 の巻

姉さん女房
21.01.25
月に一度カットとヘアカラーを施しに美容室へ行く。ヘアカラーというとおしゃれな響きだが要は白髪染めである。
他人から見ると目立たない程度でも、自分では少しの白髪も気になって仕方ない。
グレイヘアなるものに憧れもあるが、仕事で色々な方々と接する機会もありリタイアするまではツヤツヤの黒髪で居たい。

それにしても……毛染め中鏡に映るその姿はまるで妖怪である。
染毛剤をペタペタと塗られた頭と耳にはキャップを被せられ、身体にはケープを纏われ、そこに顔面が乗っかっている。
だいたい年齢というものは例え顔面が少々残念であっても(少々なのか?)、髪型や服装や姿勢なんかで大いにカバー出来る。
しかしそこに映っているのはそれらでごまかしのきかない妖怪。「おばさんになったなぁ」とつくづく実感する。
なのでそんな無防備な顔面からは目を反らし、ひたすら女性週刊誌を読みふけるのである。

シャンプーが終わると仕上げに入るのだが、その間も一切鏡を見ず週刊誌を読むか、又は目を閉じるようにしている。
美容師さんは毎回髪を切る前に「今日はどうなさいますか?」と問うてくる。私は「これこれこんなふうに。」とか「伸びた分だけお願いします。」とかイメージを伝えるのだが、えてして仕上がりは「思うてたんと違う」状態になる事が多い。
それはあまりにも美化された自分を想像するからだ。本の中のモデルのようになれるわけがない。
なので目を閉じて最悪の自分をイメージするのである。そうすれば目を開けた時のダメージは最小限に抑えられ、鏡に映る自分を見て「フッ、だいたい私はこんなものよね。」と思う事が出来る(ちょっと悲しい)。

新卒で入社した会社のOB会は5年毎に開催され(前回は2017年)、上司や懐かしい先輩方や後輩達と会えるのだが、昔から観察眼の鋭い同期が私の耳元で言った。
「やっぱさ、女は髪よ髪。顔よりさ、髪がツヤツヤでフサフサな人が若う見える。」そして続けて言う。
「今日は来とらんけどさ、〇〇ちゃんこの前『私、とうとうウイッグ乗っけてます』て言いよった。」と後輩の頭髪事情も教えてくれた。(関東に住んで長いが、帰ってくればこってこての長崎弁)

そんなこんなで施術が終わると美容室に入る前とは違ってすっきりさっぱりツヤッツヤ、“美しい人はより美しく、そうでない方はそれなりに”なのである。ジャンジャン。