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腹腔鏡は安全か?

宮村 泰豪
(みやむら やすたけ)

みやむら女性のクリニック院長
   長崎市川口町1-1 ビバシティ浦上1F
  
TEL 095-849-5507
みやむら女性のクリニック

腹腔鏡手術とは

ここでは、気腹法という方法を例にとって説明しましょう。
まずお臍の近くを5o〜1pほど切開し、そこからお腹の中にCO2ガスを充満します。
次にそこから腹腔鏡(カメラ)をお腹の中に挿入し、映像はモニターに映し出します。

下腹部をあと2、3ヶ所5o〜1pほど切開し、細長い棒状の器具をお腹の中に入れます。この棒状の器具の先には、小さなハサミ、鉗子(挟む器具)、フックなどが付いており、また通電して電器メスとして使用できたり、水を出し入れできたりする様になっているものもあります。これらの器具を使用してモニターを見ながら手術を行います。

婦人科では、卵巣腫瘍(主に良性卵巣腫瘍)の腫瘍摘出術や卵巣摘出術、子宮筋腫の場合の筋腫核出術や子宮摘出術、子宮外妊娠手術や子宮内膜症手術などで腹腔鏡手術がよく行われています。また不妊症においても子宮、卵巣および卵管の観察やそれに対する処置ができますので、なくてはならない検査・手術なのです。

メリットとデメリット

 腹腔鏡手術の最大のメリットは、体にかかる負荷が小さいということ。術後の痛みも軽く、入院期間も短くて済むので医療費も経済的。仕事や家庭などの現場に早く復帰することも可能です。
特に女性が気にされるコスメティックな面からも、手術創が小さく目立たないという利点があります。

 デメリットとしては、どんな患者さんにも腹腔鏡手術ができるわけでではないこと。

以前に腹膜炎や手術などの既往があり、お腹の中に癒着があるような人ではできないことがあります。 また全身状態が悪い場合や、疾患によっても、開腹術の方が適している場合があります。
医療機関の問題としては、特殊な器械が必要であったり、技術を習得している医師が必要であるため、どのような病院でもできるというわけではありません。

安全性と危険性

最近、腹腔鏡手術の事故が頻繁に報道されています。腹腔鏡手術は危険なのでしょうか?
私はある面で腹腔鏡は危険なものだと思っていますし、一方では非常に安全な手技だと思っています。
 新しい技術が開発され導入されていく過程では、様々な問題が生じてくることが考えられます。もちろん、ヒトの体に対して行われる医療技術は、実施に至るまでには、安全性について十分に吟味されるべきです。
 その結果、その技術が危険性を考慮してもなお、ヒトにとって大きな利益をもたらすものであるならば、慎重に導入するべきものだと思います。技術の導入に当たっては、できうる限り危険性を排除するやり方で、その運用を含めて行われるべきであるのは当然のことです。
 今までに開発された様々な医療技術もそうやって一般に行われるようになり、患者さんに大きな利益をもたらすようになってきたのですから。

正しい理解のむこうに正しい発展がある

昨今のマスコミ報道を見ていると、様々な問題が同じレベルで語られているように思います。なかには私も同じ医師としてやるべきでなかったと思わされる事件も報道されています。
 また、治療の経過が、結果的に患者さんにとっても、医師の側にとっても不幸であったとは思われますが、医療行為とくに手術にとっては宿命として起こりえる合併症(これをなくすために医師は常に注意を払い、最大限のエネルギー費やしているのですが、それでも100%発生しないとは言えません)も同じような批判の的として語られているようです(起こった後の対応については考えてみる必要があるかもしれませんが)。

腹腔鏡について、いつも思うことがあります。
 それは、患者さんがこれを受ける時には十分に内容を理解して欲しいということです。
 そのために、医療を行う側の人間としては、納得行くまで説明をしたい(いまの医療保険制度の中では時間をとって説明することが困難であるのは事実ですが)と思っていますし、それを行っているつもりです。
 もし疑問点があれば納得いくまで質問して欲しいのです。
 腹腔鏡手術は手術の手技のひとつであり、ほかに開腹手術という手段もあるのですから、絶対に腹腔鏡で手術を行わなければならないということはないのです。
 しかしながらある患者さんにとっては、これほど利益をもたらす手技はないと言って良いくらいすばらしい手技であるのも事実です。

今後、様々な分野において、患者さんの大きな助けになるであろうこの技術が、正しく発展していくことを切に願います。

会報誌Monet2003年11月号

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