暮らしのレシピ 05/11/07

 美しい方言

森 美輪 

『きれいにあんなさる・・・』この言葉を耳にしたとき、まあなんて美しい長崎弁だろうかと心底感動した。
標準語に訳すと『きれいでいらっしゃること』になるのだろうか。
標準語では言い表すことの難しい柔らかさやその言葉を発した人の人柄がかもし出す温かさを感じさせる表現ではないだろうか。


この言葉は 先日『稚児行列』に参加していた際、あるご年配の女性が、着物を着て歩くお母さんたちを観て、おっしゃった言葉である。
私はそのときはっとして、そのご婦人がおっしゃった言葉を忘れないように心の中で何回も呪文のように唱えた『きれいにあんなさる・・・きれいにあんなさる・・・』と。


私も日頃から言葉使いには気をつけているほうだと思うけど、もちろん完璧ではない!
でもこの際自分のことは棚に上げてあえて言わせて頂くと、やっぱり最近きれいな日本語を使わなくなってきているし、聞かなくなったなーと思うのである。
特に若い女性にその傾向があるような気がする。
昨年か一昨年のおくんちの中継では現役のアナウンサーが踊町の厳しい練習について頑張った方に対して、『厳しい練習に食いついてきたらしいですよ。』とか言っていたのを思い出す。
日常においても『げーまじっすか』とか使っているのは当たり前だし、目上の方に対してもふつうに『タメ口』で話をしている。
親しみやすさと慣れ慣れしさは全くちがうものだと思うけどなーと言いたい。


最近の女性雑誌の特集記事をみるとどれもこれも似たようなタイトルが並ぶ。
『上質な女になる』『選ばれる女になる』『もてる女になる』などなど・・・
でも言葉使いがまずきちんとしてなかったらたとえ流行のファッションに身を包み、メークやヘアスタイルを決めたとしてもここぞという時に選ばれないだろうし、上質とも言えないだろうしもてないんじゃないの?と思うのだ。
きちんとした言葉使いできれいな言葉を使うだけでもその人の顔も心も美しく見えるのだから不思議だ。言葉使いで態度も立ち居振る舞いも変わるのだ。


失われつつある美しい日本語の表現が日常で飛び交うようになるといいのになーと思う今日この頃である。
 【筆者プロフィール】
森 美輪

元全日空国際線スチュワーデス
インターナショナルエアアカデミー長崎校非常勤講師
著書『輪ハッハッハ・・・』(株式会社 文芸社)